津軽海峡にポツンと張り出した函館山は標高334メートル、周囲9キロメートルの、約200万年前に活動を終えた古い火山です。牛が寝そべっている姿に似ているため臥牛山(がぎゅうざん)とも言われます。香港、ナポリをしのぎ世界一といわれる函館山からの夜景と、遠く下北半島も望む大パノラマの昼の函館山は、四季や時間を問わず素晴らしい展望が楽しめます。
ロープウェイ乗場は、市電十字街下車徒歩10分。どっしりとした構えの市役所末広町分庁舎(旧丸井今井百貨店)横の南部坂を登りつめた辺りに山麓駅があり、125人乗りの大型ロープウェイが混雑時には5分間隔で出ています。ロープウェイと直結した全天候型展望台は寒さ知らずで景観が楽しめますが、外に出る場合は夏でもカーディガンやウィンドパーカーを持っていった方が良く、山頂の平均気温は6〜9月でも16度前後で風も強く、体感温度はさらに低くなります。
山頂には、津軽海峡が動植物分布上の境界線であることを発見したブラキストンと、わが国最初の実測地図を作った伊能忠敬の記念碑があります。また展望ハウスには、ロケーションの抜群なレストラン、スーベニアショップなどがあり、イベントホールでは、函館の四季の美しさを紹介する12面映像のマルチビジョンを上映しています。
登山バスはJR函館駅前始発ロープウェイ横の登山口から出発しており、また、約1時間のハイキングも楽しむことができます。約600種の植物や約150種類の野鳥が生息し、渡り鳥の休息地としても知られる函館山は、昭和39年から国の特別鳥獣保護区に指定されています。
函館山の展望の素晴らしさは、山頂から8度〜10度で見下ろすことにあるといわれ、これは飛行機の操縦士の安定した頭の角度と同じで、市街地がちょうど滑走路のようにも見え、適度の緊張感と安心感を人間にもたらす絶景として賞賛されています。